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@千葉・北西部にデーダラボッチの足跡を追う!!

 デーダラボッチは、むかーし、関東地方を中心にあちこち歩きまわって山作ったり、足跡残したりしたという伝説の残っている巨人です。日本の巨人伝説の中では割とポピュラーなもののようです。僕はちっとも知らなかったけど。

 読者の皆さんの中にはダイダラボッチという呼び名のほうが馴染み深いという方もいらっしゃるかもしれませんが、柏市、松戸市、我孫子市といった千葉県・北西部の地域ではデーダラボッチという呼び名のほうが一般的なようですので、今回はデーダラボッチで統一します。

 そうです、記念すべき「キョジンツアーズ」第一回目で訪れるのは、千葉県柏市。なぜここを選んだかというと、近いから。(筆者は千葉県在住)。もう少し詳しくいうと柏市酒井根のイボ弁天と呼ばれる場所です。

 そして、1998年9月27日の早朝、僕は記念すべき旅の第一歩を踏みだしたのです。ディスクマンには泣きメロ&轟音ギターノイズUKポップ極北点、ブー・ラドリーズの『ジャイアント・ステップス』(名盤)をセット。これでいかに僕が今回の旅に真摯な姿勢で望んでいるかがわかるというもの。しかもこの日はビュ、ビュ、ビュ、ビューティフル日曜日! しかし、外は雨。シトシト……。

 では、今回訪れるキョジンスポットについて解説しましょう。

 イボ弁天は酒井根の小さな池にある祠(ほこら)で、この池の水をイボにつけると効き目があると伝えられていて、これが弁天様のご利益だと信じられているということです。一時は各地から参詣者が集まってかなりの賑わっていたようです。池のかたちがお多福の顔に似ているということでお多福弁天とも呼ばれています。この池は実は大昔にデーデッポが東から西へ向けて歩いたときにできた足跡だという伝説があります。

 いくつかの書物に記されていることを総合すると、巨人の足跡は柏市逆井(さかさい)にもあり、こちらは左足。イボ弁天は右足跡ということのようです。さらに松戸市根木内、松戸市馬橋にも足跡があったという言い伝えが残っています。馬橋は南へずれていまが、地図上で調べるとほぼ一直線上に並んでいます。う〜む、東から西へ歩いたということですから、松戸市のものは柏市のものの続きかもしれないと推測し、今回はこれら複数の足跡を訪ねてみようと思いました。しかし、正確な場所の分かっている足跡はイボ弁天だけです(JR常磐線南柏駅下車。今谷経由酒井根行きのバスで光ケ丘下車と『謎のなんじゃもんじゃ』に掲載されています)。

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 そこで僕は千葉県の1/10000地図で調べることにしました。この地図ですと、学校のプールもキチンと水色に塗られるようなサイズなので、それらしい池があれば記載されているはずです。まず逆井……。うーん、ありません。いや、ちょっと待ってください!

 神社を示す鳥居のマークの横に小さく弁天神社と記されているではないですか! 弁天というからには池があるはずです。なんだか心もとないですが、とりあえずこの神社は訪ねてみることにしましょう。

 さて根木内ですが、ここには用水路か川のようなものが流れていて一か所、池のようになっているところがありますが、地図には記載されていません。チェックしておくべきでしょうか? 逆井から根木内までは直線上です。馬橋に関しては、まったく池らしきものはみつかりません。まあ、この辺りは行ってみればなんとかなるでしょう、と楽観的な見通しをたてて出発です。

 まずは一番東側の逆井から訪ねてみることにしました。逆井駅へはJR船橋駅・JR柏駅間を往復する東部野田線で行くことができます。

 野田線は単線で各駅停車です。ガタゴトガタゴト……ゆっくり行くよ、田舎気分満点です。これで天気が良ければちょっとしたピクニック気分にもなるところですが、雨です。だんだん寂しくなってきました。やっぱり行くのやめようかなって、ちょっぴり思ってしまいました。逆井の町は静かでした。寂しい……。南口に降り、雨の中トボトボと歩き始めます。まずは逆井中学校目指して歩きましょう。駅前に案内表示があるのですぐわかると思います。逆井は住宅地と畑の広がる町です。日曜日なのに(日曜日だから?)人通りが少ないなあ。寂しいッス! 徒歩約15分で逆井中学前に到着。中学校を左へ迂回するように道を歩いていくと、ああっ! なんだか小っこい鳥居が見えます!!

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 ダダダッと駆け寄ると(嘘。タラタラと歩み寄ると)小さいながらも結構きちんとした祠があります。この祠、長さ10メートルほどの窪地の中に建っています。おお、この窪地はもしかして!! 僕の推理はみごと的中したのか!! さすがサガラッチ!! いや、しかし。ちょっと待て。何やら道標が出ています。

  「ふるさと散歩道−デーダラボッチコース(全長6.7Km) 4.弁天様と巨人伝説デーダラボッチ/この池には昔は澄んだ清水がこんこんと湧きだしていました。大昔、デーダラボッチが東から西へ歩いたときの足跡だと言われています。この池は左足跡で酒井根のイボ弁天の池が右足跡ということです。デーダラボッチは各地で呼び方が違いますが、どれもヘソは雲のあたり、頭はお日様に届くほどの大男ということで共通しています」

 ガーン。すごい大発見と思ったのも束の間、とっくの昔にこの弁天様はデーダラボッチの足跡だって知られていたのですね。しかも何だ「ふるさと散歩道」ってのは! 「デーダラボッチコース」ってのは!! そういうものがあるのなら、はやく教えてくれよ! 柏市教育委員会!! いっぱい本調べたのに、全然載ってなかったじゃないか! プンプン。

 さて、見当外れに怒りを露にしてしまいましたが、この神社は正式には「巖島神社」というようです。「俗ニ弁天様」とも書かれていたので、地図に弁天神社と記載されていたのは、そちらにならったためでしょう。そして現在では、完全に水は枯れてしまっています。地図が水色に塗られてなかったのもそのためだと思われます。

 ところで、ここで一枚絵馬を発見。「合格祈願」とあります。神社には違いないけど弁天様って勉学にご利益あるのかなあ? しかも「キリスト教大学」だって。漢字で書けってば。っつーかキリストさんの大学入るのに、日本の神様にお願いしてどーすんの? あははは。あはあは。あっはっは〜。よっしゃあ! 次はイボ弁天だ!!

  「デーダラボッチコース」というからには、この標識に従って歩いて行けば、きっとイボ弁天にたどりつくことでしょう。迷子になりたくない人は、素直に従いましょう。僕は、あちこち余計なところを回りたくなかったので、一度逆井中学校の前の道まで戻り、県道沿いに酒井根方面へ向かいました。

 しかし、それが悪かったのか……。県道は、スーパーマーケットやファミレスなどが立ち並び、それなりに賑やかなのですが、車の通行量が多いのです。雨が降ってるというのに通行人にお構いナシですっ飛ばしていきます。おかげでバシャバシャ水が飛ぶ。おかげで僕は全身ヌレヌレ。あ〜帰りたい。イボ弁天までは約3Kmの道のりなので、歩いてもそれほど遠くはないでしょう。でも僕、もう疲れた。だって、傘さしながらメモ取ったり、写真とったり、地図見たり、迷ったり(ちょっとだけ)しなくちゃならないんだもん! もうヤダよう。

 イボ弁天は県道を西へ、松戸市との市境の直前にあります。標識が出ていますので、
そこを左に入ってください。ちょっとわかりにくいかもしれないので、気をつけてください。

 さてさて、かくしてイボ弁天にも「ふるさと散歩道」の道標が立っていました。

「おつかれさまでした。デーダラボッチの一歩も人間が歩くとかなり時間がかかりますね」だって! ああ、まったくだ。 イボ弁天のほうは現在でも水が溜っています。鯉も泳いでいて、小さな祠があります。はあ〜、これが巨人の足跡なのね! 感激!! こちらもサイズは10メートルほど。でも足のカタチをしてるかと言われると、う〜ん……って感じです。ましてやお多福のカタチになど、ちっとも見えません。

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 僕の足のサイズは26.5センチ。身長は170センチです。もし僕の足のサイズが10メートルだったら身長は60メートルくらいでしょうか?(合ってる?) いやあ、大きいですねえ。でも60メートルじゃ頭はお日様に届かないし、一歩で3キロメートルも歩けないなあ……。なんてつまらないツッコミはやめときましょう。

 ガイドブックによると最寄りの駅は南柏駅ということですが、バス停自体は北小金駅行きのもののほうが、すぐ近くにあります。本当はこのあと、根木内まで歩いて北小金駅へ、さらには馬橋や北柏方面へも足をのばすつもりだったのですが、天候不順のためとゆーか疲れたので、やめやめ!(根性ナシ)。

 読者の皆さんで、行ってみようかな? と思われる方は、JR常磐線北小金駅からは逆井行きのバスが出ているので、それを利用するとよいかもしれません。うまくすればほとんど歩かずに2カ所とも回れるのではないでしょうか。

 でも、こういう旅もたまにはいいですね。だって、僕、キョジンパワーをビビビッと感じてしまったんですから。いやあ、スゴイよ! 行ってみればわかるって! ホント、マジマジマジ。あなたもどうですか!!

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