今回、旅のお供をしてもらったのはサガラッチの後輩・カヨチン（ちょっと坂井真紀似かもしれない、銚子のＯＬ、ハタチ）です。

「もしもしー。サガラッチですが」「おう！　なに？　なんか用？」「あのー、今度の日曜日、柏に巨人の足跡を探しにいきませんか？」「えー、なに〜？　よくわからないんだけど」「え〜っとですね、巨人の足跡を探しにいくんです……」「え〜、なに〜、キョジン？　なにそれ、わけわかんないよ！」「だ……だからね、巨人の」「も〜。イタズラ電話なら切るからね！　アタシ忙しいんだけど！」

　というわけで、事情さえ飲み込んでもらうことすらできないサガラッチ。ピンチ！　

「キミはダイダラボッチって知っているかい？」

　このタイミングでダイダラボッチを持ち出すとは！　とても相手に理解を求めるための質問とは思えないこの言葉。やっぱりサガラッチってダメ人間。しかし！「知ってるよ」「え〜？　どうして知ってるの」「だって、小学校の国語の教科書に出てきたもん」おう！　新事実発覚！「え〜！　教科書に？　で、それはどんな話だったの？」「んーとね。ダイダラボッチってゆーでっかい人がいてね、で、村人が困ってるの。天災かなんかで。それで、助けてくれるんだよ、ダイダラボッチが。それがカッコイイの！　子供心に惚れちゃったナー」「惚れた？　ダイダラボッチに？」「だって強い人って憧れるでしょー」「へぇ……（すごい！　もしかして今、僕、モテてる？　モテてる？　モテてる？）」　

　いやあ、モテてるのはサガラッチじゃなくてダイダラボッチでしょう。でもこれで“巨人は女の子にモテモテだ”という事実が確認できましたね。

　というわけで今回の旅は、オトナになった女の子が幼き日に憧れた人の残した足跡を訪ねてゆく……という、ちょっぴりロマンチックな企画になったのでした。

　それでは、今回訪ねるキョジンスポット“こんぶくろ池”について解説しましょう。千葉県柏市正蓮寺の山林の中にあり、形が小袋に似ているので、その名がついたといわれています。手賀沼の三大水源地の一つで、いろいろな伝説が残っています。もちろん巨人伝説も残っていて、今はなくなってしまった根戸の土瓶が池と、このこんぶくろ池がダイダラボッチの一対の足跡だと言われています。

　道順は、国道16号線の若柴交差点から野田方面へ約２キロ、右が木村屋のパン工場、左がガソリンスタンドになっている交差点を左折して約300メートルの左側に「こんぶくろ池入口」の看板が立っています。バスを利用する場合は柏駅西口からバスに乗っていきます。今回、ガイドブック代わりにした『柏の風土記−市民のための歴史と地誌−』には野田市駅行きに乗って小青田で下車とありますが、ここからは徒歩20分ほどかかります。現在では、国立がんセンター行きのバスがあり、終点・国立がんセンターで下車すると、ここからは国道16号線方面に向けて徒歩５分ほどで着きます。

　さて、せっかくですから、こんぶくろ池へ向かう道すがら、後輩・カヨチンに色々と質問してみましょう。

「後輩・カヨチンはゲームとかやらないの？」「うーん……。あんまりやらない。弟はアレ持ってるけど」「アレ？」「ほら、アレ……プレイステーションだ」「へ〜。弟はゲーム好きなんだ」「そうそう。なんか、進んでいって成長させるやつ」「進んでいって成長？　ＲＰＧのこと？」「う〜ん、なんだかよくわかんない！　チョコボが出てくるヤツ。あれカワイイよね」「そーッスね。ポケモンは？　ピカチュウ知ってるでしょ」「うん。子供が持ってるの見るとカワイイと思うけど」

　おう！　新事実確認!!→黄色いキャラクターはギャルにモテモテ。　

「ところで弟さんはおいくつですか？」「中２」「そうですか。じゃ、ゲーム大好きなお年頃ですね」「うーん、アニメも好きみたい」「へー。どんなの？」「エヴァンゲリオン」「へー。弟さんはアヤナミとアスカどっちが好きなのかな？」「……どっちだっけ？　あのね、弟はうるさい女の子はキライなの。だからアタシのことキライなんだよー」「ということは……アヤナミか。アヤナミって大きくなるしな」

　新事実確認!!→男の子は大きくなるキャラが大好き　

「あのね、弟さんに言っといて。ロクヨン買えって。ついでに64DDもね」「ディーディー？　それ何？」「いや、僕もよく知りません。でもそれがないと『巨人のドシン』は遊べないんだって！」「キョジンノドシンってなに？」「『巨人のドシン』ってのはね！……（以下、当ホームページ「巨人とアタシ」のような会話が続く）……ちゅー感じのゲームです。どう？　オモシロそうでしょ？」「うーん……よくわかんない」「そうですか……（ションボリ）。ところで後輩・カヨチンの野望は？」「うーん、野望？　いつかデカイことやったる！」「デカイことって？」「わかんないけどデカイこと！」「自分がでっかくなったりして？　あっはっは〜」「（怒）……それはヤだな……」「いつかビッグになってやる！　って？　あっはっは、吉田栄作かい、アンタは（古い
……）」「……（怒）」

　という感じで、こんぶくろ池入り口まで辿り着きました。原っぱの間の小道を進んでいくと雑木林があり、静かなたたずまいの池があります。雑木林内には柏市教育委員会によって立てられた案内板があちこちにあり、池にまつわる伝説や周辺地域の歴史などを説明しています。しかし、その中に巨人にまつわる伝説はひとつも触れられていませんが……。

「本当にここがダイダラボッチの足跡なの〜？」

　カヨチンが疑わしい目を僕に向けます。本当だってば。本にはそう書いてあったのに！　ちきしょう！　柏市教育委員会のバカ！

　それはともかく、なかなか大きな池（というより沼？）で、奥のほうは倒木や草が重なり合ってかなり鬱蒼としています。この周辺は工業団地がすぐ近くまで迫ってきているというのに、こんなに自然が残っているとは意外です。雑木林全体が湿地帯になっていますが、歩きやすいように散歩道が数百メートルにわたって整備されています。水が湧き出ている水源部には弁天様がまつられています。

　日曜日のためか、家族づれが次々と自転車でやってきて森林浴を楽しんでいます。「こんにちは〜。ここには、よくいらっしゃるんですか？」

　カヨチンが話しかけると、オジサンは嬉しそうに答えてくれます。「そうだねぇ〜。近くに住んでるんだけどね〜家の近くにこーゆー所があるといいね。空気がキレイで気持ちいいね〜」

　サガラッチとしては巨人伝説について知っているかどうか聞きたかったところですがアタマがオカシイと思われるとイヤなので遠慮しておきました。

「でも、ここが足跡だとしたら、もう片方はどこにあるんだろう？」　お、カヨチン、いい質問です。今はもう無いけれど、土瓶ケ池というところが北柏のほうにあったことを教えてあげます。「ふーん、一歩でそんなに離れてると、学校まで５、６歩で行けるね」 そうっすね。カヨチンは巨人の大きさに思いを馳せているようです。

　街中ではあまり見ることのできない種類のトンボや蝶も、ちらほら見ることができましたが、散歩道の途中にはジャンク屋さんの粗大ゴミの山があったりもしますし、雑木林を抜けると、何故かラブホテルが立ち並んでいたりします。きっと恋人たちが国道16号を左折して車でやってくるんでしょうね。中でも僕は、ホワイトハウスというラブホが気になりました。……ビル、元気でやってるかな？　キミはビッグになったけれど、ビッグであるが故の悲しさってあるよね……

　さて、というわけで、こんぶくろ池、近くには柏の葉公園もありますし、晴れた日にのんびり散歩するには最適。足元はぬかるんでる場所もあるので歩きやすい靴で出かけましょう。

（注：ここに書いてあることは大体本当のことです）